恐ろしい単純ヘルペス脳炎の症状と治療法

病原菌 単純ヘルペスは誰しもかかる可能性のあるありふれた病気です。単純ヘルペス菌が原因となり、みずぶくれが出るのが特徴です。ヘルペスとは水ぶくれの集まった状態を指すもので帯状疱疹や水疱瘡などもその一種です。

水泡のできる原因菌によって病名がつけられるのですが、その原因菌は8種類に分類されています。単純ヘルペスはその中の1種です。単純ヘルペスは主に上半身に症状を出すI型と下半身に症状の出るII型に分類されます。I型には日本人の約70から80パーセントの人が感染しており、II型感染者は少なく一割以下と言われています。

感染力が強いことがこの数字に表れているのでしょうが、実は感染してもほとんど症状の出ない人、まったくでない人もいるのです。感染して症状が出現し治療をした場合、その症状は治まったかに見えるのですが、ウイルスは体内の神経節にとどまり住み続けています。ウイルスを完全に排除することはできません。体力や免疫力が下がった時にまた症状が表面化するというここを繰り返すのです。

早期治療が最も大切で、早めに治療を行うと症状がひどくなるのを防ぐこともでき、周囲の人に感染する危険性も少なくなってきます。

治療法としては抗ウイルス薬の外用や内服治療です。ヘルペスは医療機関で水泡のある個所の皮膚の組織を調べればわかります。またそれが初めての感染であるか、この場合は症状が酷いことが多いのですが、再発かを知るには血液の中にウイルス抗体があるか否かで判別できます。

重症例や免疫不全の人に対しての治療法は入院しての点滴や二次感染を防ぐための抗生剤治療を行います。

最も注意すべきはこの単純ヘルペスを原因とするウイルス脳炎です。発熱、頚部硬直などの髄膜刺激症状、意識障害、痙攣発作などの重篤な症状を呈します。その他幻覚、記憶障害、失語症、等も認められ、初期には幻視や異常行動もみとめられることもあります。

治療としては先ず、気道確保と補液等による栄養維持、バイタルサインの監視を行いながら、抗ウイルス剤の点滴を2週間続けることになります。二次感染の予防として抗生剤治療も行います。また対症療法を併せて行い、痙攣の続く場合は抗痙攣剤を使用します。

ヘルペス脳炎は重度の後遺症が残ることも

ヘルペスウイルスに感染した場合、最も恐ろしいのはヘルペス脳炎です。ヘルペスの原因菌は単純ヘルペスI型、II型など8種類に分類されるのですが、脳炎の原因はほとんど単純ヘルペスI型と言われています。日本では年間100万人に対して3.5人の発症率で、約400人が発症しています。死亡率30パーセントとも言われた病気ですが、抗ウイルス薬の出現によってそれを減少させることができています。

重篤な症状を示し、重度の後遺症を残す可能性のあるヘルペス脳炎ですが、その感染は極めて日常的な生活の中にあります。その予防はごく一般的なもので感染している人に直接触ったり、タオルなどを共有しない、皮膚に傷や湿疹がある場合はウイルスが侵入しやすくなっているので注意する、すでにウイルスを持っている人は日常生活の中で健康的な生活をするよう心が出るなどです。

侵入経路としては気道感染から臭神経もしくは血液を介して病変部にウイルスが運ばれるとされており、病理学的には側頭葉、大脳辺縁系に多く認められます。

ダメージを行けた場所によって症状の出方も異なってくるのですが、壊死などを引き起こしている場合は予後不良となります。脳がダメージを受けたことによって引き起こされる症状として錯乱、せん妄、精神症状、記憶障害、人格の変化、症候性てんかんなどの後遺症がおこることもあります。

そのことで社会性が阻害されたり、場合によっては日常生活にも支障をきたすことも出てきます。普段水ぶくれが出る程度の軽い皮膚疾患としてとらえがちなヘルペスですが、実はこのように重大な疾患につながるということも念頭に置き、日ごろから健康管理に努め、バランスの良い食事や十分な睡眠をとるなどストレスや疲労の少ない生活を送ることが大切なのです。